2013年12月31日火曜日

シリル・エドアン「ソロモンの裁判と行動経済学」

Cyril Hédoin "Le jugement de Salomon et l’économie comportementale" (Rationalité Limitée 20 decembre 2013)



ソロモンの裁判とその行動経済学への含意について、デイビッド・アンドルファトが非常に面白いエントリを書いている。争訟を解決するためにソロモン王が用いる手続き(子供の体を二つに切り裂いて、二人の女性で分け合うように提案すること)は、各プレーヤーをして自らの選好を明らかにするように誘導するための仕組みを浮彫にするものであり、したがってソロモンの裁判はゲーム理論にとって興味深い事例である。この場合において、本当の母親が子供の生存に与える価値はもう一人の女のそれよりも大きいとするならば、本当の母親がソロモン王の提案する解決策を拒否することで彼女が本当の母親であることが明らかになると予想できる。問題となるのは、アンドルファトが示しているように、この仕組みは各プレーヤーが戦略的・合理的でないときにしか使えないということである。というのも、各プレーヤーが完全に合理的であり、他プレーヤーが合理的であること及びゲームのルールは既知のものであると仮定すると、「偽の母親」は本当の母親の行動を予期することができ、それを模倣する。ソロモン王が用いる仕組みはしたがって失敗することになるのである。

2013年12月30日月曜日

シリル・エドアン「社会選択と選好の正当化」

Cyril Hédoin "Choix social et justification des préférences" (Rationalité Limitée 20 decembre 2013)



新経済思想研究所(INET: Institute for New Economic Thinking)のサイト上で、ラファエル・シャップによる社会選択理論についての素晴らしい小論が掲載されている。彼はアローがその不可能性定理を作り上げた分析枠組みについて、批判的な形で議論している。この小論の力点の一つは、社会選択論は社会選好を個々人の選好の機械的集計という方法によって作られたものに簡略する、「計算論的」あるいはアルゴリズム的なアプローチに依存しているというものだ。こうした点は、(合理的及び社会的)選択理論における選好の分析上の態様や、そうした選好を正当化しうる方法に関して疑惑の目で見る場合に非常に興味深いものだ。

2013年12月25日水曜日

マルタン・アノタ「景気政策の役割についてのフィリップ・アギオンの考え」

Martin Anota "Le rôle des politiques conjoncturelles selon Philippe Aghion" (21 decembre, 2013)



国際決済銀行(BIS)の最近のワーキング・ペーパーにおいて、フィリップ・アギオン及びエニス・カルービ(2013)は反景気循環的な政策の実施の擁護を、「新シュンペーター的」な観点から行っている。彼らはまず、マクロ経済変動の激しさと経済の長期成長パフォーマンスとの間の関係について、複数の研究が行われてきたことに触れている。そしてそれら研究の一部では、長期の平均成長が経済成長変動の激しさと逆相関していることを示されている。そうした場合において、アギオンとカルービによれば信用へのアクセスが限られている企業は、景気後退によって十分に資金を集めることができなくなり、投資計画を断念を強いられるという。これはしかしアギオンとカルービの焦点ではない。投資計画の断念が経済成長にとって特に有害であるということは彼らも同意するところだが、それはとりわけイノベーションの進行が妨げられるからだ。というのは、企業が研究開発や社員教育への支出を中断させると、それまでに行われた努力が水の泡になってしまう恐れがあるのだ。また、企業が景気後退期に投資を行わないため、景気回復が始まってもイノベーションはほとんど起こらない。