Martin Anota "Le rôle des politiques conjoncturelles selon Philippe Aghion" (21 decembre, 2013)
国際決済銀行(BIS)の最近のワーキング・ペーパーにおいて、フィリップ・アギオン及びエニス・カルービ(2013)は反景気循環的な政策の実施の擁護を、「新シュンペーター的」な観点から行っている。彼らはまず、マクロ経済変動の激しさと経済の長期成長パフォーマンスとの間の関係について、複数の研究が行われてきたことに触れている。そしてそれら研究の一部では、長期の平均成長が経済成長変動の激しさと逆相関していることを示されている。そうした場合において、アギオンとカルービによれば信用へのアクセスが限られている企業は、景気後退によって十分に資金を集めることができなくなり、投資計画を断念を強いられるという。これはしかしアギオンとカルービの焦点ではない。投資計画の断念が経済成長にとって特に有害であるということは彼らも同意するところだが、それはとりわけイノベーションの進行が妨げられるからだ。というのは、企業が研究開発や社員教育への支出を中断させると、それまでに行われた努力が水の泡になってしまう恐れがあるのだ。また、企業が景気後退期に投資を行わないため、景気回復が始まってもイノベーションはほとんど起こらない。
景気政策によって経済成長の変動が抑えられるため、最も企業が信用アクセスの点で困難を抱えている部門や国においては、景気政策によって長期の経済成長を改善することが出来るとアギオンとカルービは述べる。彼らの分析はしかしケインジアン的ではない。供給面に焦点を置いているからだ。反景気循環てきな政策は総需要を調整することを目的とするのではなく、結局のところイノベーションの進行の断絶を抑えるためなのだ。そうした観点から、彼らは政府が反景気循環的な財政政策を採用することを推奨している。つまり、景気後退にあって政府は、研究開発に関する投資に助成金を出すために債券を発行し、その後の拡張期を利用して債務を返済すべきというものである。二人は、財政刺激が需要に対する効果を通じて経済成長に好影響をもたらすという考えを認めるものの、それはなによりもまず財政政策が潜在的なイノベーションの市場を拡大し、それによって企業がますます研究開発活動へと乗り出すよう促されるからだ。
また反景気循環的金融政策は、経済活動が鈍化した際に短期の資金コストを引き下げるのであり、企業が研究開発や社員教育に対する投資を犠牲にすることなく景気後退を乗り切るのを助ける。それとは逆に、中央銀行は景気拡張期に際してはインフレ圧力や信用の過剰な拡大を避けるために、金融政策を再度引締めなければならない。しかし政策金利の上下は、経済主体の貸し借りについての判断に必ずしも直接的に影響を及ぼすわけではない。というのも、経済主体が直面する借り入れコストは、金融政策の変化に対する金融機関の反応にも左右されるからだ。
アギオンとカルービはそこで、経済成長の動きを捉えるために、OECD諸国において反景気循環的な政策が金融法制とどのように相互作用するのか観察した。その分析結果から、彼らは4つの事実を確認した。第一に、信用もしくは流動性に困難を抱えている部門ほど、反景気循環的政策が生産の成長を刺激する効果が高い。第二に、金融規制によって義務付けられている自己資本比率が高いほど、信用もしくは流動性に最も困難を抱えている分野の成長が小さくなる。第三に、信用が純景気循環的であるほど、信用もしくは流動性に最も困難を抱えている分野の成長が阻害される。第四に、銀行の自己資の比率が高いほど、金融政策の効果の有効性が下がる。銀行の自己資本比率を厳しくすることによって金融不安の危険性を低めることと、流動性に最も困難を抱えている分野の成長を刺激するための金融政策の効果との間のトレードオフを著者二人は示唆している。そのうえで、より反景気循環的な経済政策と規制を伴うのであれば、自己資本比率規制の厳格化は金融安定性と経済成長を両立させることができると著者二人は結論付けている。反景気循環的な資本基準によって景気停滞の際に自己資本規制が緩まるため、その結果銀行は経済活動が鈍化した際にますます貸し出しを行うよう促され、経済活動はしたがって部分的に安定化することになるのである。
国際決済銀行(BIS)の最近のワーキング・ペーパーにおいて、フィリップ・アギオン及びエニス・カルービ(2013)は反景気循環的な政策の実施の擁護を、「新シュンペーター的」な観点から行っている。彼らはまず、マクロ経済変動の激しさと経済の長期成長パフォーマンスとの間の関係について、複数の研究が行われてきたことに触れている。そしてそれら研究の一部では、長期の平均成長が経済成長変動の激しさと逆相関していることを示されている。そうした場合において、アギオンとカルービによれば信用へのアクセスが限られている企業は、景気後退によって十分に資金を集めることができなくなり、投資計画を断念を強いられるという。これはしかしアギオンとカルービの焦点ではない。投資計画の断念が経済成長にとって特に有害であるということは彼らも同意するところだが、それはとりわけイノベーションの進行が妨げられるからだ。というのは、企業が研究開発や社員教育への支出を中断させると、それまでに行われた努力が水の泡になってしまう恐れがあるのだ。また、企業が景気後退期に投資を行わないため、景気回復が始まってもイノベーションはほとんど起こらない。
景気政策によって経済成長の変動が抑えられるため、最も企業が信用アクセスの点で困難を抱えている部門や国においては、景気政策によって長期の経済成長を改善することが出来るとアギオンとカルービは述べる。彼らの分析はしかしケインジアン的ではない。供給面に焦点を置いているからだ。反景気循環てきな政策は総需要を調整することを目的とするのではなく、結局のところイノベーションの進行の断絶を抑えるためなのだ。そうした観点から、彼らは政府が反景気循環的な財政政策を採用することを推奨している。つまり、景気後退にあって政府は、研究開発に関する投資に助成金を出すために債券を発行し、その後の拡張期を利用して債務を返済すべきというものである。二人は、財政刺激が需要に対する効果を通じて経済成長に好影響をもたらすという考えを認めるものの、それはなによりもまず財政政策が潜在的なイノベーションの市場を拡大し、それによって企業がますます研究開発活動へと乗り出すよう促されるからだ。
また反景気循環的金融政策は、経済活動が鈍化した際に短期の資金コストを引き下げるのであり、企業が研究開発や社員教育に対する投資を犠牲にすることなく景気後退を乗り切るのを助ける。それとは逆に、中央銀行は景気拡張期に際してはインフレ圧力や信用の過剰な拡大を避けるために、金融政策を再度引締めなければならない。しかし政策金利の上下は、経済主体の貸し借りについての判断に必ずしも直接的に影響を及ぼすわけではない。というのも、経済主体が直面する借り入れコストは、金融政策の変化に対する金融機関の反応にも左右されるからだ。
アギオンとカルービはそこで、経済成長の動きを捉えるために、OECD諸国において反景気循環的な政策が金融法制とどのように相互作用するのか観察した。その分析結果から、彼らは4つの事実を確認した。第一に、信用もしくは流動性に困難を抱えている部門ほど、反景気循環的政策が生産の成長を刺激する効果が高い。第二に、金融規制によって義務付けられている自己資本比率が高いほど、信用もしくは流動性に最も困難を抱えている分野の成長が小さくなる。第三に、信用が純景気循環的であるほど、信用もしくは流動性に最も困難を抱えている分野の成長が阻害される。第四に、銀行の自己資の比率が高いほど、金融政策の効果の有効性が下がる。銀行の自己資本比率を厳しくすることによって金融不安の危険性を低めることと、流動性に最も困難を抱えている分野の成長を刺激するための金融政策の効果との間のトレードオフを著者二人は示唆している。そのうえで、より反景気循環的な経済政策と規制を伴うのであれば、自己資本比率規制の厳格化は金融安定性と経済成長を両立させることができると著者二人は結論付けている。反景気循環的な資本基準によって景気停滞の際に自己資本規制が緩まるため、その結果銀行は経済活動が鈍化した際にますます貸し出しを行うよう促され、経済活動はしたがって部分的に安定化することになるのである。
参考文献
0 件のコメント:
コメントを投稿