2014年1月31日金曜日

小宮隆太郎「日本の経済的成功の三つの秘密」

Ryutaro Komiya "Les trois secrets de la réussite économique du Japon"(le monde diplomatique, décembre 1967)

  • 投資の強力な成長
  • 非農業部門の加速的拡大
  • 海外技術の大規模輸入
日本が近年に経験した急速な成長の原因と結果は、なによりもまず経済学者の観点から考察しうるものである。その場合まず、戦後の経済成長において役割を担った3つの要因が指摘できる。すなわち、高水準の新規投資、非農業部門における雇用数成長率の高さ、そして海外からの新技術の大量導入によって可能となった技術進歩である。これらこそが、現代日本経済が海外や戦前のそれと比較して最も特異な点であるのかもしれない。

2014年1月15日水曜日

マルタン・アノタ「2030年には極度の貧困は撲滅されているか?」

Martin Anota "Aura-t-on éliminé l’extrême pauvreté dans le monde en 2030 ?" (D'un champ l'autre, 14 janvier 2014)



世界のうち1.25ドル/日以下で生活する人の数は、ここ数十年で大きく減少した。David Dollar, Tatjana Kleineberg et Aart Kraay (2013)が確認しているとおり、こうした絶対貧困の退潮には経済成長が決定的な役割を果たした。この絶対貧困の現象は、その大部分が中国とインドの急速な成長で説明される。しかし、依然として10億人が今日も極度の貧困(extrême pauvreté)の中で生活している。世界銀行は最近、こうした形態の貧困を減少させるという目的を採択した。すなわち、(2005年の国際価格で)1.25ドル/日以下で生活する人の割合を、2010年の21%から2030年までに3%まで引き下げるというのだ。

2014年1月14日火曜日

ハロルド・ニコルソン「古き外交、新たな外交」

Sir Harold Nicolson "Diplomatie ancienne, diplomatie nouvelle" (Le monde diplomatique, mai 1954)

Le monde diplomatiqueの創刊号に掲載されたニコルソンの論説。内容は彼の有名な著書「外交」とも共通していますね。全くマルタン・アノタではないですね。



最高権力の座に就いたとしたらまず何をするかと問われた時、哲学者孔子は次のように答えた。「名を正す」と。私はと言えば、あらゆる文明国の言語において「外交」という単語を消し去りたいと思う。というのは何と言ってもまず、この用語は特にアメリカにおいて、何らかのほぼ如何わしいものを示すようになってきているためだ。もう一つには、大衆の間においてこの用語は二つの異なる意味で使われているからである。すなわち政治と交渉である。

2014年1月4日土曜日

ジャン・ローラン・カスリー「革命歴採用のススメ」

Jean-Laurent Cassely "PASSONS AU CALENDRIER RÉVOLUTIONNAIRE: CE SERAIT BON POUR LA SOCIÉTÉ, LES ENTREPRISES ET LES TRAVAILLEURS" (Slate.fr, 31 decembre, 2013)



グレゴリオ暦の廃止によって、労働量を減らしつつ生産が増える。

1806年1月1日、フランスはとあるどうしようもない失敗を犯したとSlate.comのマシュー・イグレシアスは述べている。この日、ナポレオン1世の元で私たちは、その13年前に採用された革命歴を廃止して過去の制度へと立ち戻った(革命歴はパリ・コミューンにおいて短期間ながら再度用いられた)。1793年10月6日、グレゴリオ暦の代わりに革命歴が採用され、この新時代の始まりの日は遡ること1792年9月22日(秋分の日)と決定された

マルタン・アノタ「民主主義は格差を減少させるか」

Martin Anota "La démocratie réduit-elle les inégalités ?" (D'un champ l'autre, 27 decembre, 2013)



民主主義は他の全ての政体よりも富の分配の平等性をもたらすという考えは魅力的だ。政治的権力を少数の手に集中させる制度、つまりまさしく非民主主義的政治体制で見られるような場合においては、そうした制度が格差を上昇させる傾向にあるというのは自然に思える。政治権力を握る集団は事実、国民の犠牲のもとで自らを利する政策を実施することが出来る。アパルトヘイト体制下において、少数の白人は例えば黒人労働者が非熟練労働へ就くことを受け入れざるを得ないような労働市場の法制化を行い、彼らの賃金を引き下げた。したがって政治権力の分配が平等であれば、理屈の上では富の分配もより平等になると思われる。社会全体への投票権の拡大によって、中位投票者を社会の最貧困層の方向へと動かし、また政治的競争を増やすことで、再分配の発展と格差の減少が原理上もたらされるはずである。

しかしながら、アジアの特定の国においては権威主義的体制が敷かれているにも関わらず、比較的平等な分配が達成された。旧共産国家の民主主義への途上においては、格差が強力に上昇さえしたようにさえ見える。実証分析は民主主義と所得格差の関係について、コンセンサスを得るに至っていない。多数の国々における工業部門を観察した結果、Dani Rodrik (1999)は一例として、民主主義は実質賃金の上昇や労働付加価値の拡大と関係しているということを示している。しかし、この分析が民主主義と格差の間のマイナスの相関を示しているように見えるにしても、Rodrikは因果関係については慎重な態度を保っている。つまり、中間階級が大きな(したがって実質賃金が高いという特徴をもつ)国は、民主主義へと向かう、あるいは既に民主主義が採用されている場合にはそうした体制を維持する傾向が強いとも言えるのだ。民主主義と格差の間の有意なマイナスの相関が見つからなかったという研究も複数ある。一部、とりわけMark Gradstein et Branko Milanovic (2004)では、プラスの相関を浮かび上がらせる傾向にさえある。